ブラッドサースティ・キラー
 こんな思いをするぐらいなら、いっそうのこと死んでしまいたい。

 大切な人みんな殺された僕に、もう残っているモノなんて何もない。

 だから、もう、死んでしまいたい。

 死にたい。

 いい?

 死んでも、いい?


「殺してよ」


 静まり返った部屋の中で、僕の声は淡く溶けては消えていく。


「殺人鬼。僕も、殺してよ。みんなのもとに逝かせてよ。みんなの……もとに……ヒック……うぅ……ぐすっ」

「それはダメだ」

「――っ!」


 声がしたので部屋の入り口の方を見ると、那ヶ真先輩が立っていた。

 今回も僕の声を聞き付けて家の中に入ってきたんだろうか。

 鍵……かけてなかったっけ?

 いや、今はそんなこと、気にしている余裕などない。
< 61 / 80 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop