ブラッドサースティ・キラー
「血?……新野くん、どこか怪我をしているの?」

「こっ、これは……」


 ――ガラッ!

 僕の後ろの音楽室の扉が勢いよく開き、そこには那ヶ真先輩が立っていた。

 もしかして、さっきピアノを弾いていたのは那ヶ真先輩?

 なんて、疑問に思った刹那、僕の目の前は真っ赤に染まった。

 那ヶ真先輩は僕の後ろに立ちながら、僕のクラスメートたちを一気にめった刺しにしたんだ。


「……え?」


 あまりにも一瞬すぎる出来事に、頭がそれらの光景を理解出来ない。

 クラスメートたちは身体中から血を噴き出しながら、その場に倒れた。


「うあ……?」

「皐月。そろそろ気付いているんじゃないのか?」

「え……?」


 ま、さか……。

 まさか、もしかして、噂の殺人鬼の正体って、那ヶ真先輩っ?!


「そんな……嘘だ……」

「嘘じゃない」


 那ヶ真先輩は眼鏡越しに僕を見つめる。


「だからな、皐月」


 ころころと転がっていた懐中電灯の光が、那ヶ真先輩の姿を照らした。


「そろそろ目覚めろよ」


 そこで僕の意識は途絶える。
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