ブラッドサースティ・キラー
「なっ、なに?大地……」

「聴いたか?最近、この辺りで噂になっている、殺人鬼のこと」


 最近じゃ聴いたことのない“殺人鬼”という単語に、僕は思わず首を傾げた。

 昔、殺人鬼が脱獄した――という話はニュースで放送されていたけれど、ここ最近ではそんなニュースは流れていないし……。

 正直に言って、そんな噂、知らない。

 今、この辺りでそんな噂が流れていることを、初めて知った。


「脱獄した、とか?」

「いや。なんでも、夜な夜な人を殺し回っているらしい。昨日の夜も、3人は殺されたって……」

「えっ……」


 そんなに怖くて恐ろしいことが、僕の周りで淡々と起きていたなんて。

 僕は大地の口から出た言葉の数々に、驚かされずにはいられなかった。
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