フェアリーカンタービレ
ナーシャは必死に何かの調べものをしていた。
突如自分の周囲に異変が起きたことに気がついた。
そして、モニターを見る。
だが、そこにモニターはなかった。
代わりに少女が立っている。
「……すみません。どちら様で?」
ナーシャはびっくりしたように聞く。
少女は偉そうに腕を組み、言った。
「……テルミトラよ……。今、人間界にいるの。ところで、ナーシャ。私の愛用のバックをこちらに転送してくれる?」
ナーシャはさらに、驚いて言った。
これは怒るべきね。
「まあ、テルミトラ様?先程からどこにいらっしゃるかわかりませんので、てっきりふさぎこんでいると思ったら、人間界でお戯れ中でございましたか。……で「いいから、早く!!!」
テルミトラはナーシャの言葉を遮った。
ナーシャはがっくりしながら、部屋を出ていった。
しばらくすると、テルミトラのバックを手に持ち現れた。
「テルミトラ様。こちらですね?」
テルミトラはバックを見るとこくりと頷いた。
「ありがとう。」
「今、送ります。ところで、どうしてテルミトラ様はこの……」
ブツッ。
テルミトラは通信を切った。
ナーシャの尋ねた問いに答えられないからだ。
温かい光が馬車内を照らす。
すると、いきなりバックが出てきた。
なかにはテルミトラが好きだった花の種が入っていた。
アニアはふと笑う。
「ったく……。ナーシャはお節介ね……。」
どこまでお人好しなんだか。
アニアはバックの外についているダイヤルを切り替えて荷物を次々にしまう。
バックを背負い馬の操縦席まで行く。
しばらく、操縦席に人影が見えないと心配していたシンシア達はアニアが馬の操縦席に座っているとほっとした。
そして、馬車に近より魔物たちが入ってこないように攻撃をする。
アニアがいきなりシンシアを呼んだ。
シンシアは不思議な顔をして、馬車内に入った。
「なんなの?アニア。この最中に……。」
アニアは指を口の前に出し、もう片方をバックのダイヤルに当て言った。
「バリア魔法。最大限にどこまで出せるの?」
シンシアは今さらという顔をして答える。
「半径一キロメートルまでなら。」
アニアはにっこりしてバックを探る。
そして、何かを出した。