花嫁指南学校
その後、エース・プロジェクトの専務、初谷の携帯電話に一件の電話が入った。元恋人からの電話だった。ちょうど料亭で広告代理店の役員を接待している最中だったが、彼は「ちょっと失礼」と言ってその座から外れた。
「よう、お前か」
初谷は昔の口調でしゃべる。
「理香が学校に戻ったわ! 学長先生にもちゃんと謝って学校を続けることにしたのよ!」
回線の向こう側で、元恋人はうれしさのあまり興奮している。
「そりゃあ、良かったな。そいつは俺のお陰だぜ」
「そうね。あんたのお陰だわ。あんたがあの子をバッサリ切ってくれたから、あの子はあきらめがついたのよ」
彼女は自分を捨てた男の厚意を素直に認めた。
「言っとくけど俺はあの子を批判して傷つけたわけじゃないぜ。俺はそんな大人げない男じゃない」
「じゃあ、何であの子は学校に戻る気になったのよ」