花嫁指南学校
(おまけ)世界の大団円

1


 桐原恵梨沙は私立カメリア女学園の短期大学部を卒業した後、同校の臨時職員になった。短大でティーチング・アシスタントをしながら医療専門学校への受験勉強に励む生活が始まった。ティーチング・アシスタントの業務とは英語の授業で外国人教師を手伝うことである。恵梨沙は理数系科目だけでなく英語も得意なので、講義中に外国人教師が出す指示を必要に応じて日本語に訳している。

 時折、恵梨沙の恋人である来宮良寛が気晴らしに馴染みのバーへ連れていってくれる。以前は夜間外出届を提出しなければならなかったが、恵梨沙はもう二十一歳になろうとしていたので、学校側が彼女の行動に口を差し挟むことはなくなった。カメリアは学校の業務を手伝っている彼女を半分社会人と見なしてくれた。

< 137 / 145 >

この作品をシェア

pagetop