花嫁指南学校

「ともかくあなたは今、幸せなんですね。志穂美さん」

 久しぶりに会った知人の印象が明るくなったのにはわけがあったのだ。

「ええ、幸せよ」

 志穂美は穏やかな笑みを浮かべる。ネイルがきれいに塗られた指をグラスに掛け、バラ色のカクテルを一口飲む。気泡を含んだ冷たい液体が艶やかな唇に吸い寄せられていく。グラスの縁から唇を離した彼女は満足そうに目を細める。【了】

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