花嫁指南学校
 カメリアという美少女学園に興味を持つような男の中にはオタクっぽい人間も多いのだが、来宮医師は爽やかな好青年だった。

 すらっとした長身で顔の造作もなかなかよろしい。トラッド系のカジュアルなポロシャツにチノパンという出で立ちでレストランに現れた。

 彼は今までお見合いしたおじさんたちとは明らかに違う。

「今日はお忙しい中、遠くまで来てくださってありがとうございました」
 恵梨沙はお辞儀をして挨拶をする。

「いえいえ、こちらこそ僕のために時間を作ってくれてありがとうございます」
 来宮は年下の恵梨沙に対して敬語を使う。

「来宮先生。先生はどうしてカメリアのお見合いに出られたのですか。失礼ながら先生は結婚を焦るようなお歳ではありません」

 簡単な自己紹介を終えた後、恵梨沙は率直な疑問をぶつけた。来宮のような男が結婚相談所のような機関を利用する必要があるのだろうかと思った。彼のような人ならお金をかけずともいくらでも素敵な女性を見つけられそうだ。

「見合いをした動機ですか。もちろんいい人が見つかればと思ったからですよ。それから、僕のことを『先生』なんて呼ばなくていいですよ。桐原さんは僕の患者ではありませんから『来宮』と呼んでください」

「はい。そのようにします」

「ハハハ。あなたは今の答に納得していませんね」
 来宮は恵梨沙の表情を見て言う。

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