花嫁指南学校
 カメリア女学園の育てる人材は、日本的な良妻賢母と欧米でも通じる社交的な婦人像を、都合良くミックスした女性である。昔の日本なら良家の妻は家に閉じこもっていたが、欧米化した現代社会においては、エグゼクティブの夫人は夫の社交行事に同伴しなければならない。取引先の外国人とも会話ができるように、同校では英語教育にも力を入れている。

 中等部と高等部では学習指導要領に沿ったカリキュラムの他に、茶道や華道、マナー講座が必修科目となっている。教科の中では言うまでもなく家庭科に重きを置いている。高等部を卒業した生徒は附属の短期大学に進学する。

 短大では冠婚葬祭のマナーやお客様のもてなし方、エレガントな装い方など、さらに実践的な知識を教授している。カメリア女学園は戦前の女学校の要素と、スイスのフィニッシング・スクールの要素、そして現代のお嬢様大学の要素を併せ持つ、究極の花嫁学校なのである。

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