花嫁指南学校
進路指導部に指定されたお見合いの会場は高層のオフィスビルの中にあった。指示されたとおりビルの受付に取り次ぎを頼むと、係の者がやってきてナズナをビルの一店舗に案内した。それはレストランでも料亭でもなく、ビルの一階にあるアメリカンスタイルのコーヒーショップだった。
店では揃いの制服を着たスタッフがカウンターで客から注文を取っている。案内人に促されてナズナもトールサイズのホットチョコレートを注文した。受け取り口から熱々のホットチョコレートを受け取ると、今度は店の奥へ案内された。コーヒーショップの奥にはソファとローテーブルが置かれていて、客が長居できるようになっている。そこでは一人の男がソファに座って何かビジネスの資料を読んでいる。彫りの深い横顔から察するに外国の血を受けた男性のようだ。年齢は三十代前半といったところだろうか。
「ミスター・ピーターソン。本橋ナズナさんをお連れしました」
案内人が男性に声を掛けると彼はその目を資料から離した。
「ああ、ご苦労様。君が本橋さんだね。待っていたよ。僕はアレックス・カワシマ・ピーターソンだ。よろしく」
「本橋ナズナです。よろしくお願いします」
ピーターソンと呼ばれた男性はナズナと握手を交わし、それから彼女に向かい側の席を勧めた。ナズナは「失礼します」と言って彼の前に座った。
辺りを見回すと店内では普通に客がコーヒーを飲んでいるし、とてもお見合いの席とは思えない雰囲気だ。学園はナズナにてこ入れをしてくれたのかと思ったが、紹介してくれた相手はお金持ちでも何でもない普通のビジネスマンのようである。まあ、この際ナズナに贅沢なことは言えないが。
店では揃いの制服を着たスタッフがカウンターで客から注文を取っている。案内人に促されてナズナもトールサイズのホットチョコレートを注文した。受け取り口から熱々のホットチョコレートを受け取ると、今度は店の奥へ案内された。コーヒーショップの奥にはソファとローテーブルが置かれていて、客が長居できるようになっている。そこでは一人の男がソファに座って何かビジネスの資料を読んでいる。彫りの深い横顔から察するに外国の血を受けた男性のようだ。年齢は三十代前半といったところだろうか。
「ミスター・ピーターソン。本橋ナズナさんをお連れしました」
案内人が男性に声を掛けると彼はその目を資料から離した。
「ああ、ご苦労様。君が本橋さんだね。待っていたよ。僕はアレックス・カワシマ・ピーターソンだ。よろしく」
「本橋ナズナです。よろしくお願いします」
ピーターソンと呼ばれた男性はナズナと握手を交わし、それから彼女に向かい側の席を勧めた。ナズナは「失礼します」と言って彼の前に座った。
辺りを見回すと店内では普通に客がコーヒーを飲んでいるし、とてもお見合いの席とは思えない雰囲気だ。学園はナズナにてこ入れをしてくれたのかと思ったが、紹介してくれた相手はお金持ちでも何でもない普通のビジネスマンのようである。まあ、この際ナズナに贅沢なことは言えないが。