花嫁指南学校
「できたわよ」
藤本が教え子に声を掛ける。
二人の前には大きな鏡が張ってあり、そこには藤本と前掛けをして椅子に座っている陶子の姿が映っている。二人の目が鏡の中で合う。藤本の指がメイクをしたばかりの陶子の肌を撫でる。
「今日もいい出来ばえだわ。とてもきれいよ」
彼女は指先でその絹のように滑らかな質感を愉しむ。
「覚えていてね。これからも、あなたがここを卒業してもずっと、あなたの肌を守るのが私の役目だから」
鏡の中の藤本に向かって陶子がうなずく。
「さあ、いってらっしゃい。楽しんでくるのよ」
藤本は教え子を送り出した。