物語と人形
扉が開き、少女とエリーザが入ってきた。
「ただ今戻……」
エリーザの言葉は驚きで止まってしまった。
手に持っていた桶を落としそうにしているのを、少女が受け取る。
少女は慌てて台所に持っていった。
「イザヴェル!……何故、此処に」
「そういう貴様こそ、何をしている。家政婦が探していたぞ。」
イザヴェルは立ち上がり、エリーザを抱きしめた。
「どうせ、世間体を気にしているだけ。」
「俺は違う。」
「わかってる。すまない。」
エリーザは頬に口付けた。
「でも、私はここがいい。この子とハルデンさんが好きだ。……あぁ!親愛、だけれども。」
“愛しているのはイザヴェルだけ”と言うように笑う。
「その、子供と老人が気に入ったのならそうすればいい。だが、俺の目が届く場所に居ろ。」
「それは、ハルデンさんに言うべきでないかな?」
エリーザはハルデンを見た。
「……わしに、迷惑をかけるなよ。」
「りょーかい。」
呆れたような調子のハルデンにエリーザは悪戯っぽく笑った。
「一緒に、ここで働こう。」
「貴様と居れるならそれでもいい。」
イザヴェルは頷いた。
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