物語と人形
「行こうか。」
そう言うと、少女を連れて玄関を出た。
ハルデンは、少女の手に異形を壊す為の武器を渡した。

少女は異形を見分けることができる。
どうやら稀に見る体質なようで、強い力を持っている為に異形の暴走を促してしまうらしい。

異形とは、元は人間であったり妖怪である。
神族は異形に成ることは殆どない。
あると、かなり手強い異形となる。
力が暴走してしまい、抑制が効かなくなってしまった状態の者のことを言う。
形が歪み、理性は無い。

森に着くと、異形らしき者が現れた。
「醜い姿だ。」
そう吐き捨てて、石化させる。
少女は武器で異形を粉砕していった。
「人形。」
少女はハルデンを見上げた。
「少し、遠くへ向かおう。」
そう言って、森の深くへ入る。
普段ならば入らない程に深く足を踏み入れる。
すると、暗い足元で何かがぶつかった。
初めは少女かと思ったが、その様子は無い。
灯りで照らすと、女性が見えた。
「おい。」
異形ではないことを確認し、意識があるかを確かめた。
「……ん。」
女性は起き上がり、苦しそうにハルデンに寄りかかった。
腹部を押さえており、出血が酷い。
それよりも、背中に生えた羽根が折れていて、痛そうだ。
その純白だっただろう、血で汚れた羽根からして、種族は天使であるとハルデンは悟った。
「屋敷へ。」
その言葉に少女は頷いた。
ハルデンは女性を支えながら帰宅した。
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