不実な夜の向こう側
まあ、なんとなく、こういう展開になるとは思っていた。

みちるは諦めにも似たため息を吐いて、顔をあげる。



「……わかりました。責任をもって、私が家に送り届けます」

「よっし、さすが鈴鹿ちゃん!」

「クールビューティー素敵!」

「酔っ払いの上司なんてただクソ面倒くさいだけだからな!」

「先輩たち、月曜の朝、自分の椅子に座るとき気をつけてくださいね?」

「その綺麗な微笑みが怖い!!」



同僚から沖田を引き取って、自分の肩に腕をまわさせる。

近付いた彼からは強いアルコールのにおいがして、思わず顔をしかめた。



「主任、起きてますか? 歩けますか?」

「……ああ」



なんとか返事は聞こえたので、小さく安堵する。

そばに停まっていたタクシーに沖田を押し込もうとしていると、後ろから、高津が躊躇いがちに話し掛けてきた。
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