天才博士の恋愛理論
グイッと腰の辺りに手が回り、強い力で引き寄せられると、私はベッドへと逆戻りしていた。
そして、見上げるとそこには前髪を掻き上げながら私を見下ろす棗くんの顔が―――…
「な、棗くん……。おはよう…」
「―――おはよう…。どこに行こうとしてたの?」
「どこって―――…。もう、朝みたいだし、そろそろ起きようかなと思っただけなんだけど? 別にどこかに行こうとは―――…」
「ふ~ん…」
ふ~んって―――…
棗くんって、すごく綺麗な顔してるから、こんな風に見下ろされたりすると、私はその妙な色気にイチコロでやられちゃいそうになるんだけど。
それに、寝起きの棗くんって、いつものふわりとした雰囲気じゃなくて、妙に男っぽいというかなんというかいつもと雰囲気が違うから―――…
「―――昨日、何時に寝たの?」
ジッと至近距離で見下ろされているのが耐えられなくて、私は苦し紛れに話を切り出した。
「う~んと…、何時だったかな? 時間はわからないけど、外は明るかったと思う」
「えっ!?」