天才博士の恋愛理論






教授はふと腕時計に目を落としたかと思うと、にっこりと笑みを浮かべた。


きっと、その姿に前方付近に座っている女子学生たちは目を奪われたに違いない。



『それでは少し早いですが、キリがいいということで、今日の講義はここまでとします。来週は実験に入りますので、講義室ではなく実習室での講義となります。掲示板には、その旨を張り出しておきますが、自身でも忘れないように気をつけてくださいね。それでは終わります』


マイクを切る、カチッという音と共に一斉に前列にいた女子学生が教授へと駆け寄っていく。






「ねぇ、先生~。今日の講義はこれでお終いですか~?」

「先生、今日、飲み会するんですけど、一緒に行きませんか?」

「先生って、彼女いるんですか?」



至る所から、教授を取り囲み質問の嵐。


そんな女子学生たちに囲まれながら、中心にいる教授は、困ったように眉を下げながらも当たり障りなく答えているようだった。








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