天才博士の恋愛理論
「それじゃ、瑞穂ちゃん。また、今度誘うね!」
先輩は大きく手を振ると、今度こそ本当に去って行った。
それを見て、私はハァ…とため息を吐く。
いいかげん、私を誘うことが無駄だと諦めてくれないだろうか?
そもそも、なぜ吉田先輩は私にこんなに構ってくるのか……
謎だ―――…
「あの調子じゃ、また来るね」
隣に立っていた雪乃の言葉に、私はコクリと頷いた。
「雪乃。さっきはありがとうね」
「ああ…、いえいえ。それよりも瑞穂…、問題は……。今日、帰ったら大変なんじゃない?」
憐れんだ目で私のことを見つめながら、ポンと肩を叩く雪乃に、私はハハ…と乾いた笑いを漏らした。
そうだね……
きっと、ね。
とりあえず、今日の晩御飯のメニューは決まった。
頭の中で今日の買い物リストを作成しながら、私は雪乃と一緒に講義室を後にした。