天才博士の恋愛理論











ほんのりとした甘みとショウガのにおい。


添えのレタスはすでにお皿の上に盛り付け済み。


そこにプチトマトを飾って。


彩(いろどり)もOK!


後は、豆腐とわかめの味噌汁に、ひじきの煮物。


そして、彼の大好きな生姜焼き。


「う~ん、いい匂い…」




あまりにも食欲をそそるにおいに、作っている私の胃さえも刺激してくる。


ジュ~…と音を鳴らしながら焼けていく肉を見ながら、私はふと壁にかかっている時計を見る。


「そろそろ帰ってくるはずなんだけど……」




そう思ったら、グッドタイミングでガチャガチャと鍵が開く音が聞こえてきた。


私は火を止めると、玄関へと走っていく。


「お帰りなさい」




彼は靴を脱ぎ、軽くネクタイを緩めながら、にこりと微笑んで「ただいま」と返してくれた。


そして、私の前までやって来たかと思うと、手に持っていたはずの鞄はいつの間にか床に置かれていて、その腕の中にすっぽりと包まれた。





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