チャット恋愛注意報!!(旧)


その日、みんなはチャットに戻ってこなかった。

当日のことをメールでやり取りしてるのかな? みんな、私と違ってノリノリだったし……。

私の知らないところで、みんな楽しくやってるのかな……。


そんな風に思いながら、空っぽの『高校生ルーム8』をログインせずに閲覧する。



もしもみんなが私の知らないところで会話を続けていたら、そしたら私、ここでもまた幽霊になっちゃうな……。

誰でも閲覧出来るチャットという場所だったから、みんなと笑っていられたけれど……メールアドレスでのやり取りってなったら、私は疎外される。

いや、その存在自体、忘れられてしまう。




「……やっぱり、会うのはやめておいた方がいいのかもしれないな……」




でも、私が『行かない』って言っても、みんなはリアルで会うのかな?

そうなったら……それこそ私の存在は消えてしまう。


チャット内でオフ会の話をされたら、私はついていけない。

楽しそうに笑うみんなを見ながら、ひっそりと……退室ボタンからではなく、ウインドウの右上についているバツ印を押すんだろうな。

いわゆる、窓落ち。

チャット内には名前が残るけど、実際はもう落ちた(退室した)あと。

しばらくすれば名前は消え、完全に忘れ去られる。



……リアルの私がネットに入り込んでしまう。

ネットの中でさえ、私は幽霊と同じになってしまう。



学校に居る時以上の孤独感が、体を覆っていく。


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