チャット恋愛注意報!!(旧)
そんなこんなで。
私とユージの家族の話をしながら、夕食は和やかに進んでいった。
YUKIは完全なる聞き役だ。
自分のことは言わず、私やユージの話に微笑むだけ。
それでも全然構わないんだけど……やっぱり気になるな……。
だけど、聞いてもきっと答えてはくれない。
だから私もユージも、なんでもないような顔で話を続けていた。
食事が終わり、テーブルの上にはイチゴのショートケーキと紅茶が置かれた。
私とユージの誕生日を祝うケーキ。 それを食べながら、和やかな時間は続いていった。
「フジヤマも、来られたらよかったんだけどね」
ユージの言葉に私もYUKIも頷き、ケーキを食べる。
ほんと……フジヤマも一緒だったらよかったのにな……。
「まぁ、あの人が『仕事』って言ってる以上、俺たちは無理強い出来ないからね」
「……ねぇYUKI、俺らが居ないってわかってるフジヤマが、この隙にチャットしてるなんてことはないよね?」
「ないだろ。 いや……ない、と思うけど……」
……まさかね。 という、微妙な空気が私たちの間に流れる。
「……ちょっと覗いてみよっか」
ケーキを食べ終わったユージが、パソコンの前に座る。
私とYUKIも最後の一切れを口に運んだあと、後ろから画面を覗き込んだ。
慣れた様子でチャットサイトを開くユージ。
いつも4人で話していた『高校生ルーム8』を開くと……、
「……え?」
「あっ……」
「……」
……結果として、フジヤマは居なかった。
だけどその代わりにそこに居たのは、【ユキ】という名の人……。
「もしかして、ユキさん……?」
「いや、でも……『ユキ』って結構聞く名前だし……」
「そう、だよね……。 じゃああの、中に入って、年齢とか聞いてみる……?」
「ん……ちょっと待って、やってみる」
私とユージが話してる最中、YUKIはずっと黙ったまま画面を見つめていた。
ユージが、『高校生ルーム8』に入室する。
その直後。
YUKIが、ポツリと言った。
「……この人は、ユキ姉じゃないよ」
「え?」
「あり得ない」