チャット恋愛注意報!!(旧)
薄い笑みを浮かべたYUKIは、私たちから離れて壁に寄りかかって座った。
天井を見つめ、小さなため息。
そのあとに、膝を抱えてぼんやりと床を見つめ始めた。
「YUKI……?」
そう声をかけるけど、YUKIの体勢は変わらない。
その間、ユージは【ユキ】とチャットを開始し……すぐに言った。
「彼女、16歳の高校生だって。 ここでチャットするのは初めてらしい」
「……でも、年齢を偽ったりとか……」
「喋ってる感じだと、本当に高校生みたいだよ」
「……そっか」
ユキさんじゃ、ないんだ。
でもYUKIは、どうしてそれがわかったんだろう?
ユージがルームに入室した直後で、まだ【ユキ】は何も言葉を発していなかったのに。
「ごめん、少しチャット続けるよ。 さすがに入室直後は落ちにくい」
「うん、わかってる」
「ごめんね」
私の頭をポンポンと叩いたユージに笑みを返し、私は、YUKIのそばに向かった。
「YUKI、どうしたの……?」
静かに隣に座り、様子を窺う。
私の方を見たYUKIは、さっきと同じように薄い笑みを浮かべていた。
「俺は嘘つきだ。 というか、隠し事ばっかりだ」
「……え?」
「話すって決めたのに、また何も言ってない。 ほんっと、ダメな奴だ」
ガシガシと頭を掻いたあと、YUKIは深く息を吐き出してから私を見つめた。
「俺は、リアルのユキを知ってる」