チャット恋愛注意報!!(旧)
「……え?」
リアルのユキさんを、知っている……?
「あの、それって……」
そう言いかけた時、私よりも先にユージが声を発していた。
「それってどういうこと? なに、ずっと前からユキさんを知ってたの?
……リアルのユキさんを知っていながらも、フジヤマには何も話してなかったってこと?」
ユージはパソコンの画面に向かったままだったけれど、その声はどこか怒ってるようだった。
「……そう、俺は何も言わずに過ごしてた」
「なんで?」
「ユキ姉のことは、どうしても言えなかったんだ」
「だからさ、どうしてだって聞いてるんだよ。 俺やサクラに黙ってるのはいいよ。 だって6年前のことは知らないもん。
だけどさ、フジヤマは6年前からずっと『高校生ルーム8』に居るんだろ? YUKIはそれをずっと見てきたんだろ?」
Enterキーを強く叩いたユージが、私たちの方を見る。
【ユキ】とのチャットは終わったみたい。 ……というか、予定より早く終わらせたんだと思う。
YUKIの口から出た衝撃の事実に、ユージは少なからず混乱してるようだった。
もちろん、私も同じ……。
「6年あったら、言えるだろ」
その言葉に、YUKIは小さく頷いた。
「言おうと思ったことは何度もあった。 【YUKI】としてチャットするようになってからは、尚更に」
「じゃあどうして……」
「言えなかったんだよ。 言いたかったけど、言えなかった」
「……あぁもう、全然わかんない」
息を吐き出したユージが、YUKIに近づく。
「言うつもりでここに来たのなら全部話して。 中途半端に話されたって、俺もサクラも何一つわからない。
全部言いなよ。 言いにくいことだとしても、最後までちゃんと聞くから」