チャット恋愛注意報!!(旧)
ユージは真っ直ぐにYUKIを見ていた。
『もう隠さないで』と、言葉を続けて。
……YUKIは視線を僅かに落とし、そのあとにふっと笑った。
「ユキ姉は、俺の実の姉なんだ」
実の、姉……。
「名前は雪村 由紀子(ユキムラ ユキコ)、23歳。 生まれつき心臓が悪くて、今も定期的に病院に通ってる。
この前、手術したんだ。 だからまだユキ姉は入院中」
「この前……って、私と電話で話した日……?」
「うん、そう。 あの日だよ」
……あの日のYUKIは、とても急いでいるような感じだった。
何かあったんだろうと思っていたけど、お姉さんの手術があったんだ……。
「昨日退院の予定だったんだけど、ちょっと血を吐いちゃって。 それで、退院は延期になった」
そう言ったYUKIは、携帯を操作して写真を見せてくれた。
「俺の誕生日の時に撮った写真なんだ。
……昔はさ、20歳まで生きられないだろうって言われてた。 だけどユキ姉は生きてる。
ユキ姉の目標は、『80歳まで生きること』らしい」
YUKIは微笑みながらそう言った。
愛おしそうに、写真を見つめながら……。
「あの人は、世界が滅びそうな時だって一人でヒョウヒョウとしてるんじゃないかって思ってる。 俺の中のユキ姉はいつだって元気に笑ってて、楽しい人。 そんなイメージなんだ。
でも、血を吐くのを見てさ……やっぱりいつかは死ぬんだ、って思った。 もしかしたら来年の今頃はもう居ないのかもしれない、って」
携帯をポケットに戻したあと、YUKIは深く深く息を吐き出した。
「この前ね、ユキ姉とチャットの話をしたんだ。
6年前のこと、ユキ姉は覚えてた。というか、『忘れたことなんてない』って言ってたんだ」