チャット恋愛注意報!!(旧)
真っ直ぐな言葉に、心臓がドキッと鳴る。
躊躇わず、言葉を濁すこともなく聞くユージ。
それに対するYUKIは、どちらとも言えない笑みを浮かべていた。
YESかNOか、まったくわからない笑み……。
今までのYUKIなら、その先のことは黙っていたと思う。
何も言わずに、淡い笑みを返すだけ……。
……だけど今のYUKIは、今までとは違っていた。
「大丈夫だと信じたいけど、『20歳までしか生きられない』と言われている身だから、いつ死んでもおかしくない状態だと思う。
こうやって話してる間にも、ユキ姉の心臓は止まりかけているのかもしれない」
「……だから今回、フジヤマにユキさんの話を……?」
「まぁ、それもあるけど。
でも1番の理由は、ユキ姉自身が『フジヤマに会いたい』って言ったからかな」
ニコッと笑ったYUKIが、静かに天井を見上げた。
ユキさんとのやり取りを思い出しているのか、その表情は柔らかい。
「俺が【YUKI】としてチャットし始めた時、ユキ姉に『高校生ルーム8』に居るフジヤマのことを話したんだ。
『フジヤマってあのフジヤマ?』と最初は驚いた顔をしたけれど、そのあとにチャット画面を見つめて『相変わらず馬鹿だなぁ』って言って笑ってた。
……6年前のことを思い出している時のユキ姉は、本当にキラキラと輝いてたよ」
……ユキさんは、フジヤマとチャットするYUKIのそばに居たんだ。
パソコンの画面を、一緒に見てたんだ。
「ユキ姉はいつも俺のそばでチャットを見るようになった。
6年前は俺がユキ姉とフジヤマのやり取りを見ていたけど、今は逆。
ユキ姉が画面を見て言う言葉のほとんどは『変わらないなぁ』だった」
……変わらない、か。
それはきっと、ユキさんがそう言ったからだよ。
『アンタはずっとそうやって笑ってろ』って、ユキさんがフジヤマに言ったから。
だからフジヤマは、変わることなく『高校生ルーム8』に居たんだよ。
「……オフ会はね、ユキ姉が参加するべきだって思ってた」