チャット恋愛注意報!!(旧)
相変わらず天井を見つめたまま、YUKIは言葉を続けていく。
「ユキ姉はチャットでのやり取りをほとんど知ってたし、ユキ姉がそばに居てくれたからこそ、俺は女子大生を演じていられた。
だからユキ姉が行くべきだったんだ。 フジヤマと会いたいって思ってたユキ姉が、会って話をするべきだと俺は思ってた」
……YUKIは完璧に女子大生を演じていた。
でもそれはユキさんがそばに居たから、当然と言えば当然だったんだ。
……別人が存在してるんじゃないかって思ったことは、間違いじゃなかったんだ。
「……だけどユキ姉は、『行かない』って言ったんだ。 『今更出ていけるわけないじゃん』って。 『楽しいオフ会の場で病気のこと言えないよ』って。
だから俺が行った。 俺が行くしかなかった。 ユキ姉のことは黙ったまま、俺はフジヤマと喋ってた」
……そっか。 そうだったんだ。
YUKIは、本当はユキさんのことをフジヤマに伝えたかったんだね。
でもユキさんが『楽しいオフ会の場で』って言ったから……だから、何も言えなかったんだ。
「……オフ会の時、フジヤマは『YUKIに惚れてた』って言っただろ? その話をユキ姉にしたんだ。
そしたら、顔真っ赤にして喜んじゃってさ。 『私もまだまだイケてるね!!』ってオドケたように言って、そのあともずっと嬉しそうに笑ってた。
……ほんとは会いたかったんだよな。 会いたいに決まってる。 6年前のことを忘れずに覚えてるってことは、今でもフジヤマが好きってことだもんな」
微笑むYUKIに、私とユージも頷く。
そうだよね……ユキさんはずっと、フジヤマを想っていたんだ。
リアルで会ったことがなくても、好きだったんだ。