チャット恋愛注意報!!(旧)




ーー『俺は俺だし、YUKIはYUKI。 フジヤマはフジヤマで、サクラはサクラだろ?』




それは、ユージが私に言ったことだった。


……自分は、自分。

リアルとネットが違うとしても、私は私であり、フジヤマはフジヤマだ。




「チャットしてる時のフジヤマは、私の前でたくさん笑ってくれた。 リアルで会った時もいっぱい笑い合うことが出来た。
あの時の笑顔を私はフジヤマの『リアル』だと思っているし、たとえそれが演じてたものだとしても……それでもやっぱりフジヤマはフジヤマだよ」




みんなで笑い合ってた時間は、紛れもなく存在してる。

私は【サクラ】を演じ、沢口 晋也は【フジヤマ】を演じていたかもしれないけれど。


それでも、みんなと笑い合ってた時間は事実なんだ。

あの時の笑顔は、絶対に嘘なんかじゃない。





「ユキさんは、悲しんだりしないと思う。 フジヤマのこと、ちゃんとわかってくれると思う」

『……』

「私はフジヤマのこと、わかりたいって思うから……だからユキさんだって絶対、フジヤマのことを知りたいって思うはずだよ」




実際には、どうなるかわからない。

だけどユキさんは、フジヤマのことを受け入れてくれると思う。

……ずっとフジヤマを想ってたユキさんなら、きっと大丈夫。






『サクラ』

「ん?」

『ありがと』

「……うん」




フジヤマの声は、とても小さかったけれど。

それでもしっかりと私の耳に届き、私の心をじんわりと温めた。


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