チャット恋愛注意報!!(旧)
「私もありがとう」
『……何が?』
「色々と、話してくれたから」
『あぁ……うん。 いや、なんつーかさ……こういう話、サクラにしか出来ねぇじゃん』
「そう? ユージやYUKIにも話せばいいじゃない」
そう言った私に、フジヤマはすぐに言葉を返してきた。
『年下に弱味見せられるかっつーに。 とくにあのクソメガネには言いたくない』
「……私も年下だよ?」
『サクラは女だから話したんだよ。 ほら、なんかあった時に『慰めてー』って抱きつけるじゃん?』
「……抱きつかれたらすぐ警察呼ぶからねっ」
『あははっ、照れるな照れるな。 優しくしてやるから』
いつもみたいに笑うフジヤマ。
その声を聞きながら、私もふふっと笑う。
「何かあったらYUKIに慰めてもらったらいいんじゃない? あ、秀一さんの方のYUKIね? ほら、チャットだと女子大生だし」
『いやいやいやっ、リアルでムギューッて出来なきゃ意味ねぇだろ。
それともアレか、お前は俺とクソメガネが抱き合ってるところが見たいのか? お前さんそういう趣味をお持ちかっ!?』
「そういう趣味はないけど、ネタとしてなら見てみたい」
『あぁ俺は構わないがアイツは……って、なんでやねんっ』
「あははっ」
『笑い事じゃねぇよっ』
と言いながらも、フジヤマは私と同じように笑ってる。
……演じてるってフジヤマは言ったけど、でも、全部が全部ってわけじゃないよね。
少なくとも、こうやって笑ってる今は……今は、『リアル』のフジヤマだと信じたい。
「明日クソメガネさんにキスしちゃいなよ」
『抱きつくよりひでーじゃねぇかっ』
「楽しそうでいいじゃん」
『どこが楽しいんじゃっ!!』
なんてことを言いながら、私たちは笑い続けた。
会話の内容はサクラとフジヤマとしてのものだけど、繋がっている電話は、三原 桜子と沢口 晋也。
リアルでのやり取りの中で、私たちはいつまでも笑い合っていた。