チャット恋愛注意報!!(旧)
……この中に、ユキさんが居る……。
ゴクリと唾を飲み込んでドアを見つめる私と、その隣に立つユージ。
フジヤマはやっぱり最後尾だ。
YUKIがドアをコンコンと叩くけど、返事はない。 看護師さんが言ってたように、眠っているのかも……。
「ユキ姉、入るよ?」
そう言ったYUKIがドアを半分開け、中の様子を窺うと……ユキさんは、やっぱり眠っているみたい。
そっと中に入り、私たちはベッドに近づく。
心電図モニター……というのだろうか?
医療系のドラマなんかでよく見るモニターがベッドのそばにあり、そこから伸びた線が眠っているユキさんの体へと繋がれている。
……ユキさんは、画像の時よりも細く小さく見えた。
死んだように眠っている。 なんて言葉は不謹慎この上ないけれど、でも……彼女の深い眠りは、それを思い起こさせるようなものだった。
「……少しだけ、起こす?」
小声で問うYUKIに、私とユージは顔を見合わせ、どうしようかと迷う。
せっかくだから、ちゃんと会って話したいけれど……でも、無理に起こしたくはない。
だけど、ここでこのまま帰るのも……と、色々な思いが巡る。
そんな時、フジヤマがスッと前に出て、ベッドのそばにあったイスに腰かけた。
フジヤマはそのまま静かに、ユキさんの手を握りしめる。
「……来たよ、ユキ」
それは、とても小さな声だった。
だからユキさんは気付くことなく眠っていて、なんの変化もない。
だけどフジヤマは、笑っていた。
麦わら帽子を深くかぶっていたし、サングラスもしていたから口元しかわからなかったけれど……それでもフジヤマは笑っていたと思う。
今までに見たことのないような、優しい顔で……。