チャット恋愛注意報!!(旧)
「……」
ユキさんのそばに居るフジヤマを、私たちがそれぞれに見つめる。
その後、YUKIが私とユージを無言で促し、フジヤマを残して病室を出た。
「二人にしてあげよう」
病室前の廊下で静かに言ったYUKIに、当然のように私たちは頷く。
……6年間、フジヤマはユキさんを待っていた。
ずっとずっと会いたかったユキさんと、ようやく会えたんだ。
ユキさんはまだ眠っているけれど、それでも私たちは、フジヤマとユキさんを二人にしてあげたかった。
二人の時間を、少しでも長く過ごしてもらいたかった。
「せっかく来てもらったのにごめんね」
小さな笑みを浮かべるYUKIに、私は首を横に振る。
ユージも同じように首を振り、私の隣で微笑んでいた。
「……ユキ姉とフジヤマが会えてよかった。 生きてるうちに会えて、本当によかった」
寂しくて重いその言葉に、私もユージも言葉を返せなかった。
それでもYUKIは気にすることなく微笑み、私の頭を撫でたあとにユージに視線を移す。
「何か飲み物買ってくる。 サクラとここに居て」
「ん」
「すぐ戻る」
ひらひらと手を振ったYUKIは、振り返ることなく歩いていった。
残された私とユージは、無言のまま手を繋いでいる。
言葉を探すけど見つからない。 見つからないから無言になってしまう。
そんな時間が、1分ほど続いた時だった。
パンッ!!
と、ユキさんの病室から乾いた音が響いてきた。
今のって……平手、打ち……?