チャット恋愛注意報!!(旧)
……それは、突然の言葉だった。
「え?」
と、フジヤマ以外の全員の言葉が重なる。
『雪村』を辞めて『沢口』に、って……それってあの……つまり……。
「ユキ、俺と結婚して」
……うわわっ。 やっぱりプロポーズだっ……!!
「婚姻届持ってきたからサインして。 俺のは記入済み」
ポケットの中から出てきた、しわくちゃの紙。
でもそれは確かに婚姻届のようで、ちゃんとフジヤマのサインがされている。
「あ、あのっ……フジヤマ、ちょっと待って……少し、落ち着かせて……」
胸の辺りにそっと手を置いて、ユキさんは目を閉じる。
ゆっくりと、呼吸を落ち着かせているみたい。
「……あの、ですね。 私、結婚とかそういうのは……」
「俺はお前が好き。 お前は?」
「……私は、6年前からずっとフジヤマが好きだった。 だけど私っ……」
「俺もずっと好きだった。 だから問題ない」
「問題大ありだよっ!!」
部屋の中に、ユキさんの声が響き渡る。
その直後、バタバタと大きな音を立てて看護師さんが入ってきた。
「由紀子ちゃんっ。モニターのアラーム鳴ったけど平気?」
「……」
「由紀子ちゃん?」
無言のまま俯いているユキさんに変わり、YUKIが看護師さんに対応する。
『大丈夫です』と言い、『何かあったらすぐに知らせますから』と微笑んだ。
「……それならいいんだけど、あまり無理させないようにね?」
「はい。 すみませんでした」
深々と頭を下げるYUKI。 私とユージも、ペコペコと頭を下げた。
……ユキさんは相変わらず俯いていて、フジヤマはそんなユキさんを真っ直ぐに見つめていた。