チャット恋愛注意報!!(旧)
「……私は、先天性の心臓病です」
「うん」
「心臓だけじゃなくて、合併症で他の臓器もあまり機能していなくて……生きてる間はずっと、病院に通い続けなくちゃいけないの」
「知ってる」
「……知ってるなら、なんで結婚なんて言うの?」
涙を堪えているユキさんの声は、震えている。
声だけじゃなくて、胸の辺りに当てられた手も、震えていた。
「私は絶対、フジヤマより早くに死んじゃうから……。 そんなの、フジヤマに迷惑かけるだけだから……」
とても小さく放たれた声を聞きながら、フジヤマはゆっくりとサングラスを外した。
「80になるまで生きるのが、ユキの目標なんだよな?」
「え……」
「だったら俺は、その目標に向かって歩くお前のそばに居たい」
ニッとフジヤマは笑う。
それは、普段と何も変わらない笑顔……。
「あんな強烈な平手打ちが出せるんだから、80なんて余裕だろ?」
「あ……」
「婆さんになったユキを、爺さんになった俺が支えるから。
だから、俺と結婚してほしい」
……フジヤマの優しい声に、ユキさんの目から涙がこぼれ落ちた。
そのまままた俯いてしまったユキさんの頭を、フジヤマが優しく撫でる。
「ここで頷かなきゃ、もう頷く場所がねぇよ?」
「……フジヤマの、馬鹿……」
「でも、それが俺だろ?」
「うん……フジヤマは、ずっとフジヤマのままだ……」
「これでも、つい最近まで色々悩んでたけどな。 でももう悩まねぇよ」
ふと、フジヤマが私を見て、さっきと同じようにニッと笑った。
「俺は俺。 だから俺は俺らしく生きる。 それを教えてくれたのは、サクラだ」