チャット恋愛注意報!!(旧)


………

……




その後、私たちはユキさんと少しだけ話をした。

ほとんどはチャットの話……というか、フジヤマの話だ。

『この人は昔からー』とか、『今でも変だよねー』とか、そんな感じ。


病気とは思えないくらい、ユキさんは元気がよくて明るくて、とても楽しい人で。

チャットの【YUKI】と同じ……私が思い描いていた通りの人だった。




もっともっと話していたい。 みんなで笑い合っていたい。

誰もがそう思っていたけれど、楽しい時間というのはあっという間に過ぎていってしまう。


そろそろ、別れの時だ。




「サクラちゃん、今度は私が遊びに行くねっ」




元気よく手を振るユキさんに、『はいっ!!』と笑顔で応える。




「みんなで写真撮ろー?」




その言葉を受け、YUKIが携帯のカメラを構える。

けれど『全員で撮らなきゃ意味ねぇじゃん』とフジヤマが言い、その後、若い看護師さんを連れてきた。




「はーい、撮りますよー。 みんな笑ってー」




その声に、それぞれが笑顔になる。


そして……『高校生ルーム8』のメンバー全員が揃った写真が出来上がった。



麦わら帽子をかぶったフジヤマが、ベッドに座ってるユキさんの肩を抱いていて。

私とユージはその近くでそれぞれにVサインを出して笑ってる。

そしてYUKIは、ほんの少し離れた場所で微笑んでいる。




フジヤマ、ユキさん、YUKI、ユージ。 そして私。

とあるチャットサイトの、『高校生ルーム8』で出会った私たちは、いつまでもいつまでも笑っていた。


< 148 / 182 >

この作品をシェア

pagetop