チャット恋愛注意報!!(旧)
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その後、私たちはユキさんと少しだけ話をした。
ほとんどはチャットの話……というか、フジヤマの話だ。
『この人は昔からー』とか、『今でも変だよねー』とか、そんな感じ。
病気とは思えないくらい、ユキさんは元気がよくて明るくて、とても楽しい人で。
チャットの【YUKI】と同じ……私が思い描いていた通りの人だった。
もっともっと話していたい。 みんなで笑い合っていたい。
誰もがそう思っていたけれど、楽しい時間というのはあっという間に過ぎていってしまう。
そろそろ、別れの時だ。
「サクラちゃん、今度は私が遊びに行くねっ」
元気よく手を振るユキさんに、『はいっ!!』と笑顔で応える。
「みんなで写真撮ろー?」
その言葉を受け、YUKIが携帯のカメラを構える。
けれど『全員で撮らなきゃ意味ねぇじゃん』とフジヤマが言い、その後、若い看護師さんを連れてきた。
「はーい、撮りますよー。 みんな笑ってー」
その声に、それぞれが笑顔になる。
そして……『高校生ルーム8』のメンバー全員が揃った写真が出来上がった。
麦わら帽子をかぶったフジヤマが、ベッドに座ってるユキさんの肩を抱いていて。
私とユージはその近くでそれぞれにVサインを出して笑ってる。
そしてYUKIは、ほんの少し離れた場所で微笑んでいる。
フジヤマ、ユキさん、YUKI、ユージ。 そして私。
とあるチャットサイトの、『高校生ルーム8』で出会った私たちは、いつまでもいつまでも笑っていた。