チャット恋愛注意報!!(旧)
「ユージ、サクラを頼むよ」
「うん」
「あ、新幹線の中でサクラと痴漢ごっこでもしたらどうだ?」
「なんでだよ。 フジヤマと一緒にしないで」
「いやいやいや、痴漢ものは好きだが経験はねぇよ? どうだ、偉いだろ」
「偉いっつーか普通のことでしょ」
……と、いつも通りのやり取りをするフジヤマとユージは、楽しそうに笑ったあとにハイタッチを交わした。
「俺のサクラを泣かせるなよ、“木瀬ちゃん”」
「ちゃん付けはやめて。 つーかサクラは俺のだから。 ……“沢口さん”も、ユキさんを泣かせないようにね」
「あのなぁ、イケメンってのは女を泣かせてナンボだろ」
「それはちょっと違うと思う」
ふふっと笑うユージに、フジヤマもハハッと笑う。
そんな二人を見つめる私のそばで、YUKIがポンポンと私の頭を叩いた。
「もうすぐ夏休みが終わるから、チャットする時間は減ると思うけど……でもいつでもメールして?」
「あ……うん……YUKIも、メールしてね?」
「ん」
にっこりと笑うYUKIに、私も笑みを返す。
その時。 別のところから伸びてきた手が、私の頭を撫で回した。
「俺にもメールしろよー? 雪村と浮気するより俺と浮気しろ」
「ちょっ……私、浮気なんてしないからっ……」
「わかんねぇぞー? 『ユージが全然構ってくれなくてー』って相談してさ、そのままそっちでラブラブになるかもしれねぇじゃん」
とフジヤマが言った時、ユージがフジヤマの足を思いっ切り踏んづけた。
「余計なお世話だから」
にっこりと笑うユージと、うずくまるフジヤマ。
それを見てYUKIは楽しそうに笑い、私もまた、みんなを見つめながら笑みを浮かべた。