チャット恋愛注意報!!(旧)
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YUKIとフジヤマを残し、私とユージは新幹線に乗った。
新幹線の中で話すのは、やっぱりユキさんとフジヤマのことだ。
周りに人が居るから、私たちは小声で笑い合う。
「ユキさん、ほんっと楽しかったなぁ。 また会いたいね」
「うん。 また行こう。 ていうか、ユキさんとフジヤマの結婚式に呼んでもらわなきゃ。
俺たちが居なきゃ、二人は再会出来なかったかもしれないしね?」
「ふふっ、そうだねっ」
受け取った写真を見つめ、それぞれの顔を見ていく。
ユキさんはとても幸せそうで、フジヤマは相変わらず楽しそうで。
ユージはちょっと子供っぽくピースしてて、YUKIはとても優しい顔してる。
私は、んー……元々写真写りがよくないから、自分で自分を見ると微妙な感じだけど……でも、満面の笑み。
楽しくて楽しくて仕方がない。 そんな顔をしてると思う。
「夏休みが終わったら、あんまり遠出とか出来なくなるね」
ふと、ユージがそう言って窓の外を見つめた。
「俺とサクラは会おうと思えば会える距離だけど、全員で集まるってなると、やっぱり厳しいよね。
みんな、それぞれの生活があるわけだし」
「あー……そうだよね……」
「毎回フジヤマがお金出してくれるんだったら寝ずに会いに行くけどね」
そんな風に言って笑うユージを見つめ、小さく言う。
「ねぇユージ。 さっき、フジヤマのこと『沢口さん』って言ったけど……」
……どうして突然苗字で呼んだの?
と言葉を繋げる前に、ユージが私へと視線を移した。
「フジヤマはフジヤマだけど、でもここはリアルの世界だから」
「リアル……」
「フジヤマは俺を『木瀬』と呼んだし、YUKIのことを『雪村』と呼んだ。
オフ会でならチャットネームでいいよ。 でも俺たちは、リアルの友達だろ?
だからこそちゃんとお互いの名前を呼ぶべきだと思ったし、フジヤマやYUKIもそう感じたんじゃないかな。
まぁ俺はチャットでもリアルでも『ユージ』だけどね」
ユージは微笑み、また視線を窓の外へと移した。