チャット恋愛注意報!!(旧)


にっこりしながら、ユージは言葉を続けていく。




「演じてるとかそういう感じじゃなくてさ、自然と笑顔になってると思う」

「し、ぜん……?」

「昔は人見知りだったけど、今は違う。 そんな風に変わったんじゃないかな」




……変わった。

私は、変わった……?




「俺も以前とは変わったと思う。 俺だけじゃなくて、きっと他のみんなもそうだよ。
まさに、一期一会の出会いだね」




そう言ったユージは、私の手をギュッと握りしめた。

『大事にしていかなくちゃいけないね』と、微笑んで。








……その後、ユージはほとんど喋ることなく、窓の外を流れる景色を見つめていた。

だから私も、黙ったまま隣に居る。




……一期一会。

一生に一度のこと。 たった一度きりの、出会い……。




ーー『昔は人見知りだったけど、今は違う。 そんな風に変わったんじゃないかな』




ユージの放った言葉が、頭の中で繰り返される。

自分ではよくわからないけれど、でも私……前とは変わっていたのかな……?


……ううん、みんなと一緒だから。ってだけじゃないのかな……。


みんなが居るから、笑っていられる。

大切な仲間だから、なんでも話すことが出来る。


……みんなが居なかったら私、前と同じなんじゃないかな。

何も出来なくて、誰にも声をかけられなくて、幽霊のようにひっそりとそこに居るだけなんじゃないかな……。




ーー『ちっぽけな世界に閉じこもったまま一生を終えるか、広い世界に飛び出して生きていくか、それはサクラ次第だよ』




その時にふと、YUKIの言葉を思い出した。

ちっぽけな世界に閉じこもったままか、広い世界に飛び出していくか……それは、私次第……。




私が前へ進めば、私の目に映る世界は……景色は、変わるのだろうか……。


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