チャット恋愛注意報!!(旧)
「……ユキさんのこと、ちゃんと守ってあげてね?」
『だから心配すんなって。 俺こう見えて真面目ちゃんだから』
「『こう見えて』って、自分でそんな風に言っちゃう?」
『言っちゃう言っちゃう。 だって俺だもん』
「……ま、フジヤマだからね」
『おうよっ』
私がふふっと笑うと、電話の向こうでフジヤマも笑っているようだった。
『俺は俺でちゃんと前へ進むから。 だからサクラも頑張れよ』
……前へ、か……。
「ありがとう、フジヤマ」
『晋也だよ。 沢口 晋也。 イケメン既婚者の晋也さんだぜい』
「もー、うるさいよ馬鹿」
フジヤマが珍しくいいこと言ったと思ってジーンと来てたのに、台無しだ。
「……結婚式は絶対呼んでね? “沢口さん”」
『“桜子”は心の友だから、当然だろう?』
「あ、ジャイアンの結婚式はいいです、遠慮します」
『ちょ、俺の感動のセリフ台無しっ』
「ふふっ、ごめん。 でもこれでおあいこだから」
『あいこ? いつどうやってあいこになったんだ?』
「秘密っ」
……頑張れって言ってくれてありがとう。
私、頑張るよ。
フジヤマと同じくらい、これからを頑張っていきたい。
『秘密なんてなしだろー。 俺とサクラの仲だろー?』
「だからこそ秘密ですっ。 あとから色々言われると面倒だもん」
『なんだそりゃ』
「だから、秘密だってばー」
そんなことを言いながら私は笑い、電話の向こう側できょとんとしてるだろうフジヤマに言葉をかけた。
「フジヤマ、ありがとね。 アホなフジヤマのこと、私はこれからも好きでいるからっ」
『おいコラ、『アホ』は余計だろっ。 まぁアホだけどなっ』
そんないつもと変わらないフジヤマの声を聞きながら、私は満面の笑みを浮かべていた。