チャット恋愛注意報!!(旧)
……2分ほど経ち、高校生くらいの男の子が中から出てきた。
キョロキョロと辺りを確認したあと、携帯を取り出して何やら操作している。
その後、またキョロキョロと辺りを見回して……私を見て、動きを止めた。
そして次の瞬間。
彼は、私に向かってピースを繰り出した。
口元に笑みを浮かべ、まるで『俺』と言っているかのような。
「ユージ……?」
私の口がそう動いたのを見て、彼は小さく頷いて手を振った。
携帯をしまった彼は、ゆっくりと私に近づいてくる。
「こんにちは」
「あっ……こ、こんにちは……」
「サクラ、だよね?」
「は、はいっ……!!」
……ユージだ。 本当に本当にユージだっ!!
うわぁっ……ついに会ってしまった!!
ど、どうしようっ……なんて声をかければいいっ……!?
「あ、あの……ユージさん、ですよねっ……?」
「うん、ユージです」
「よろしく、です……」
「こちらこそ」
……その後、私たちの会話は途切れた。
私は終始うつむき加減だし、ユージもまた、『んー』とか『あー』とか言うだけで、言葉を探しているようだった。
ユージが人見知りだというのは本当らしい……。
「えっと……YUKIとフジヤマは? まだ見てない?」
「あ、まだ見てない、です……YUKIはそろそろ、来る頃だと思うんですけど……」
「そっか」
「……はい……」
というところで、また会話が止まってしまった。
私の馬鹿っ。
もっとちゃんと、ユージと話せばいいのにっ……!!