チャット恋愛注意報!!(旧)
「さて、キスしましょうか」
「……えっ!?」
「冗談だよ。 サクラは相変わらず、からかいがいがあるね」
う……またやられた……。
いや、でもさ……二人きりの部屋でそんなことを言われたら、誰だって驚くってば……。
「で、どこがわからないの?」
「あ、えっと……全部……」
「全部、か。 ユージと同じことを言うね」
「……ユージもそうだったの?」
「うん」
……そっか、ユージも私と同じことを言ったんだ。
「サクラとユージ、ユキ姉とフジヤマ。 それぞれ似た者同士だからこそ、上手くいくんだろうな」
「……そう、なのかなぁ……」
「俺はそう思うよ」
そう言いながら、YUKIは私の目の前にプリントを置く。
家庭教師、YUKIとの勉強が始まった。
「……そういえばユキさん、体は平気そう? 新幹線乗ったりとか、キツそうじゃなかった?」
YUKIの丁寧な解説の合間に、ユキさんのことを聞く。
数日前まで入院してた身で、長距離移動……かなり心配だ。
「さっき見た通り、フジヤマを全力で殴るくらいの元気があるから大丈夫」
「……強がりとかじゃ、なくて……?」
「うん」
「そっか……よかった」
そんな言葉を交わしてるうちに、スラスラと1枚目の表が終了した。
あれ……難しい難しいと思ってたのに、YUKIに教えてもらったらあっという間に終わっちゃった。
「15分あれば終わりそうだね」
「凄い……YUKI、教えるのすっごく上手……」
「コツを掴めばなんだってすぐ出来るようになるよ」
そう言いながらも、手では私に指示を出し、文法の成り立ちを教えてくれている。
そんなこんなで、あっという間に裏も終了!!
YUKIの言う通り、15分くらいで全部が終わりそうかもっ。
「凄いなー。 あんなに悩んでた私、馬鹿みたい」
「チャットしてる時に言ってくれればよかったのに」
「うー……それユージにも言われた。 だって、言う機会がなかったんだもん……」
「メールや電話は?」
「……それも言われた」
ほんと、もっと早く言っとけばよかった。
そうすれば苦痛な宿題なんて7月中に終わったかもしれないのに……。
はぁ……ほんと、私の馬鹿……。