チャット恋愛注意報!!(旧)
……安心したような、ちょっと残念なような。
「……でも似合いそうだよね、茶髪」
「染める気はないし、茶髪にしたら親父にぶっ飛ばされる。 うちの親、チャラチャラしたの嫌いなんだもん」
「そっか、厳しいんだ。 ……お父さん、よくフジヤマを許したね」
「あの人はチャラチャラしてるんじゃなくて、アンポンタンだからね」
あはは……フジヤマってば、ひどい言われようだなぁ……。
「だけど、フジヤマが一緒だと楽しくていいよね。 毎日笑顔で過ごせそうだもん」
「まぁね。でも口うるさいよ。『準備は終わったのか』、『早く寝ろ』、『そろそろ起きろ』と、毎日アホみたいにメールしてくる。
子供じゃないんだから、それくらいちゃんと出来るのに」
「ふふっ、いいお義兄さんじゃない」
「兄貴ぶりたいだけだよ。 心ん中じゃ絶対『俺カッコイイ』だからね」
そんな風に言いながらも、YUKIは笑っている。
「でもあの人が居ると、家族みんな笑ってる。 みんな幸せそうな顔してるから、感謝はしてるよ」
「……YUKIも、幸せ?」
「まぁね。 今までより、世界が広がった感じがする」
「そっか」
……フジヤマの存在が、雪村家を明るく照らしているんだ。
楽しいことばかりじゃなくて、大変なこともあるだろうけど……それでもみんな笑顔いっぱいで、幸せに暮らしてる。
「……私も、笑顔で頑張らなきゃいけないね」
「広い世界へ、飛ぶ?」
「うん」
ちっぽけな世界から、広い世界へ。
少しずつだけど、私、変わっていきたい。
みんなと一緒に居る時のように、学校や、それ以外の場所でも笑っていたい。
そんな風に思うようになってきていた。
「サクラなら大丈夫だよ」
ポンポン、と優しく頭を叩くYUKI。
その顔はとても優しくて、幸せそうで。
微笑みを返す私もまた、幸せな気持ちでいっぱいだった。