チャット恋愛注意報!!(旧)
体勢を変えて、ユージは私を見た。
「だけど俺、サクラを手放すつもりはないから」
そう言ったあと、上半身を起こしたユージは隣に来るようにと私を促す。
その隣に座り、私はユージと視線を合わせ続けた。
「YUKIと一緒に居る方がサクラにとって幸せかもしれない。
だけどサクラは、俺を選んでくれたから……だから俺、それを信じてサクラのそばに居るよ。
自分に出来ることを見つけて、自分らしく進んでいこうと思う」
「ユージ……」
「今はまだ何も出来ないけれど、俺、サクラを幸せに出来るように頑張るから。
だから、この先もずっと俺のそばに居てほしい。 俺を、想っていてほしい」
不安そうな顔のユージ。
彼の言葉を聞きながら、私は小さく何度も頷いた。
「……私はずっと、ユージの隣に居るよ。
ユージと一緒に居ることが、私にとっての幸せだもん」
「……ほんと?」
「ほんとだよ。 YUKIやフジヤマや、ユキさんのこと……もちろんみんな大好きだけど、でも、いつも頭の中に居るのはユージだよ」
私はみんなのことが大好きで、大切で、失いたくないと思ってる。
恋とか愛とか、今でもわからないことばかりだけど……それでも私は、いつもユージを想ってる。
誰よりも大切な人が、目の前に居る木瀬 祐二という人で。
私はその人との時間を、ずっとずっと大事にしていきたい。
「祐二が逃げ出したくなるくらい、私は真っ直ぐに愛し続けます」
「……逃げないよ。 いや、でも……逃げるかも?」
「そしたら全力で追いかけるっ!! で、追い抜かすっ!!」
「なんでだよ。 追い抜いちゃダメだろ」
「いいんだよ。 追い抜いた私を、今度は祐二が追いかけるんだから」
ニコッと笑った私を見て、ユージは呆気にとられたような顔をした。
だけどすぐ、口元に手をやってクスクスと笑い始め、そのあとに私の頭にそっと手を置いた。
「俺、走りには自信がないから、あんまり速く走らないでね?」
「大丈夫、私も全然自信ないからっ」
「お互いヒッキーだもんな」
「うん、否定しないっ」
ふふっと笑うユージは、頭に置いていた手を首の後ろの方へと移動させ……ゆっくりと私を引き寄せた。
「ありがとう、桜子」
「……ううん。祐二も、そばに居てくれてありがとう」
「ずっと居るよ。 何年経っても、ずっとそばに居る」
「うん」
視線を合わせたまま、私たちは微笑む。
そしてそっと、ほんの一瞬だけお互いの唇が触れ合った。