チャット恋愛注意報!!(旧)


「俺はまったく別だな。 何も共通点がなくフジヤマだ」

「え、そうなの? なんでフジヤマ?」




てっきり、『藤山さん』とかだと思ったのに。

でも実際は、まったく共通点がないらしい。




「フジヤマは日本一の山だろう? 俺は日本一のイケメン。だから名前はフジヤマだ」

「……あ、そうですか」




富士山からの、フジヤマ。

メールでも【富士山】【日本一!!】とか言ってたし、派手Tシャツも富士山だったもんなぁ……。

そう思うと、まったくひねりのない名前だ。

まぁ、ひねりがないのは私も一緒だけど。




「富士山が好きなの?」

「んや、部屋のカレンダーが富士山特集だったから使っただけ。 たまたまだ」

「あ、なるほど。じゃあカレンダーが仏像とかだったら大仏様って名前になってたんだ?」

「いやいやいや、その前に仏像のカレンダーってなんだよっ」




私の言葉にけらけらと笑うフジヤマ。

……言われてみると、仏像のカレンダーなんてあんまり聞かないかも?




「サクラはほんっと面白い女だなぁ。 チャットん時と全然変わんねーわ」

「え……」




……その言葉に、どう返そうか迷う。


……実際の私は全然違う。

今はみんなが私の存在を認めてくれてるから……サクラを見つめてくれるから、チャットと同じように居られるのだ。


そうじゃない時の私なんて、幽霊と一緒だもん……。




「あの……あのね、私……ほんとは全然違うんだよ?」




運転席に居るフジヤマ、助手席に居るYUKI、そして隣に座っているユージの顔を見たあと、視線を足下へと落とした。


< 28 / 182 >

この作品をシェア

pagetop