チャット恋愛注意報!!(旧)
「俺はまったく別だな。 何も共通点がなくフジヤマだ」
「え、そうなの? なんでフジヤマ?」
てっきり、『藤山さん』とかだと思ったのに。
でも実際は、まったく共通点がないらしい。
「フジヤマは日本一の山だろう? 俺は日本一のイケメン。だから名前はフジヤマだ」
「……あ、そうですか」
富士山からの、フジヤマ。
メールでも【富士山】【日本一!!】とか言ってたし、派手Tシャツも富士山だったもんなぁ……。
そう思うと、まったくひねりのない名前だ。
まぁ、ひねりがないのは私も一緒だけど。
「富士山が好きなの?」
「んや、部屋のカレンダーが富士山特集だったから使っただけ。 たまたまだ」
「あ、なるほど。じゃあカレンダーが仏像とかだったら大仏様って名前になってたんだ?」
「いやいやいや、その前に仏像のカレンダーってなんだよっ」
私の言葉にけらけらと笑うフジヤマ。
……言われてみると、仏像のカレンダーなんてあんまり聞かないかも?
「サクラはほんっと面白い女だなぁ。 チャットん時と全然変わんねーわ」
「え……」
……その言葉に、どう返そうか迷う。
……実際の私は全然違う。
今はみんなが私の存在を認めてくれてるから……サクラを見つめてくれるから、チャットと同じように居られるのだ。
そうじゃない時の私なんて、幽霊と一緒だもん……。
「あの……あのね、私……ほんとは全然違うんだよ?」
運転席に居るフジヤマ、助手席に居るYUKI、そして隣に座っているユージの顔を見たあと、視線を足下へと落とした。