チャット恋愛注意報!!(旧)


………

……




その後、私たち4人は車での会話を続けていった。

隣に居るユージとは、あまり視線を合わせることは出来なかったけど……。




「フジヤマって、リアルはどんなことしてる人なの?」




ユージの問いかけに、フジヤマは少し考えたあとに答える。





「自宅警備員」

「え、そうなの?」

「おう。もちろん嘘だ」

「嘘かよっ」




チャットと同じようにやり取りをして笑う二人。

私もそれを聞きながらクスクスと笑い、助手席に居るYUKIもふふっと笑ってフジヤマを見た。




「見た目だけで考えると、じゅうぶんありそうな話だけど」

「うるせーよメガネ。 そんなことを言うお前は本当に大学生か?」

「秘密」

「あぁわかった、実はヒッキーとか?」




と聞くフジヤマに、YUKIは微笑むだけで答えなかった。

……実際、どうなんだろう?

YUKIはかなり頭がいい。と感じる。 見た目もそうだし、ネカマがバレなかったほどのやり手だし……。

だからリアル大学生なのかな?とも思うけど……YUKIの微笑みは肯定なのか否定なのか、よくわからない。




「お前は、わかんねーヤツだなぁ。 まぁ、別にいいけど」




頭を掻いたフジヤマは、それ以上深くは聞かなかった。

多分、内心では知りたいと思ってるんだろうけど……でもこれは、『オフ会』。

みんなで楽しく話をする場であって、個々の素性を明かす場ではない。

私みたいに自分から話すなら別だけど、それ以外は強制するものではない……と思う。


まぁ、素性のわからない人と会ってること自体、本当は危険なのかもしれないけど……。


でもそれでも今は、深く聞くようなことじゃないんだと思う。

フジヤマは深く問わないし、逆に自分のことも言わない。

それでも話が成り立っているんだから、それでいい。 そんな風に考えているんだと思う。

だから私もユージも、フジヤマのことやYUKIのことは、それ以上は聞かなかった。


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