チャット恋愛注意報!!(旧)
そう言った私に、フジヤマは頭を掻く。
「俺も時々ネカマするけど、まぁ、女の方が何かと都合いいんじゃねーの?」
「え、フジヤマが女……おばちゃん役……?」
「綺麗なお姉さんに決まってるだろうが。 って、俺のことはどうでもいいんだ。
なんだっけ、えーっと、そうそう、『都合がいい』って話な」
携帯を取り出したフジヤマは、いつもチャットしているサイトを開き、『高校生ルーム1』を入室せずに閲覧。
隣で私も画面を見つめる。
現在、男の子と女の子が学校行事について話しているようだ。
そのうち、女の子が先に落ちた。
男の子はそのまま『高校生ルーム1』に残っていたけれど、次に入ってきたのは『フジヤマ』という男。……私の隣に居るフジヤマだ。
適当に挨拶をするけれど、男の子は『用事があるからー』とすぐに退室していった。
「でも、他の部屋でチャットしてるというね」
そう言ったフジヤマが、今度は『高校生ルーム4』を開くと……さっきと同じ名前の男の子が、別の女の子と会話している。
そこにフジヤマも入る。 今度は『サクラ』の名前を使い、女としてだ。
……そうすると男の子は、そのまま女版フジヤマと楽しそうに話し始めた。
さっきは『用事が』って言って落ちたのに。
「な? だから女の方がいいんだって」
数回話をしたあと、『急用が出来た』と言ってフジヤマ演じるサクラはすぐに落ちた。
「男がチャットする理由なんてさぁ、女と喋りたいからに決まってんじゃん」
その言葉に、『あぁ、なるほど……』と納得する。
「一人の女の子が数人の男の子と喋ってるの、結構あるもんね」
「女もチヤホヤされんのが嬉しいんだろ? チャットってのはそういうもんだし」
「……あ、私は別に、そういうのは……」
「わかってるって。 サクラは純粋にチャットしてる感じだったもん。
でもYUKIは、どっちかっつーと積極的に男と話してたもんな。
『高校生ルーム8』だと俺らと話すけど、『大学生ルーム2』とか『2チャット』とか。 色んなところで男と話してるはず」
……2チャット、か。
密室で、YUKIは男の人とどんなことを話してるんだろ……。
やっぱり、アダルトチックな話もするのかなぁ……。