チャット恋愛注意報!!(旧)
23歳、自称イケメンの毛だらけなオッサン。
隣に居るこの人も、『暗黙のルール的な何か』にハマるのだろうか?
「まぁ、答えられる範囲でなら答えるけど?」
「え、答えちゃうの? 暗黙のルールはないの?」
「俺はオープンだからな」
ニシシッと笑うフジヤマは、また爽やかに髪をかき上げる。
全然、爽やかではないけど……。
「……じゃあさ、普段は何をしてる人なの? 社会人、だよね?」
昼間、ユージが聞いた時は『自宅警備員』と言っていたけれど、それは嘘なんだよね?
その後、YUKIのことに話題が移って忘れられたこの問いかけは、まだ有効なんだろうか?
職業を聞く私の言葉に、フジヤマは小さく笑った。
「俺な、リアル警備員。自宅じゃなくて、スーパーとか病院とかな」
「え、そうなの?」
「時々夜も仕事してっけど、基本は昼間に店ん中をフラフラ警備してる」
「そうなんだぁ……フジヤマ、泥棒みたいな顔してるのに」
「うるせっ、制服着ればイケメン警備員じゃっ」
と、そんな風に笑い合う私たち。
サングラスを麦わら帽子の上に乗せたフジヤマは、砂浜にゴロンと横になった。
「昔さぁ、町立病院の深夜の見回りをしたことがあるんだけど、その時に1回だけ幽霊っぽいの見たな」
「え、ちょっと。 なんで急にそんな話するのー……」
「夏と言ったら怪談じゃん。定番だっつーに」
……とか言って笑ってますけど、私、怖い話は苦手……。