チャット恋愛注意報!!(旧)
「チャットのサクラが好き。 そして、リアルのサクラも好き」
チャットと、リアル。
両方の私が好きと言ったユージは、やっぱり優しい顔で笑っていた。
「YUKIもフジヤマも、そして俺も。 みんなサクラのことが好きだよ。
友達として、大切な人として、恋愛の『好き』として」
「え……?」
「みんなチャットのサクラに惹かれて、そしてリアルのサクラにも惹かれてる。
そうじゃなきゃ、あの人たちがサクラと二人きりになるわけがない」
……二人きり……。
フジヤマも、YUKIも、私と二人きりに……。
そして今、ユージとも……。
「まぁ、フジヤマはYUKIに惚れてたわけだけど。 でもさ、元々サクラのことは好きだったはずだよ。 じゃなきゃオフ会なんかしないだろ?
チャットの時に恋愛感情がなかったとしても、会って、色々話して……もっとそばに居たいって思う気持ちは、スゲーわかる」
遠くを見つめるユージは、それでも笑っていた。
優しく、穏やかに。
「サクラが俺たちを大切に思ってくれてるように、俺たちもサクラを大切に思ってる。
恋愛の『好き』とかさ、誰かと付き合うとかさ……そういうの、あんまり考え込まなくていい。
ゆっくりでいいからリアルの俺たちのことを知っていってもらいたい。 その反対に、俺たちもサクラのことが知りたい。
最後にどういう関係になってるかはわかんないけどさ、でも……頼むから、突然消えたりしないで」
「ユージ……」
「サクラは、俺たちのことを失いたくないって言ったよね? その気持ちは俺たちも同じだよ。
サクラを失いたくないんだ。 みんなで過ごす時間を、消したくないんだよ」