チャット恋愛注意報!!(旧)
「ユージ、フジヤマがっ……」
『え、何? どうした?』
「……フジヤマが、チャットを辞めるって……」
『マジ? なんで?』
驚いたような声のユージに、フジヤマに言われたことを話していく。
「仕事の都合で、今までのようにチャット出来なくなるって……」
『あぁ……そっか』
「……どうすることも出来ない、よね……」
『うん』
ネットとリアルなら、当然リアルを優先するべきだ。
……私は、ネットの方を優先したいけど……。
でもなんだかんだと言いながらも、リアルがすべてなんだよね……。
リアルを生きていかなきゃ、何も出来ないんだ。
『俺たちも学校が始まれば、チャットはまた夜だけだよ』
「……うん」
『仕方ないことだと思う』
「……わかってる」
……わかってるけれど、でも……やっぱりそばに居たい。
みんなと一緒に、笑い合っていたいよ……。
「……私、最低だね」
『うん?』
「自分は何も言わずにチャットを辞めようとしたくせに、フジヤマが辞めるって聞いた時……離れたくないって思った。
リアルの方が大事に決まってるのに、私たちのそばに居てよ。って……そんな風に思った」
いつまでもみんなで過ごしたい。
そばに居たいし、居てもらいたい。
……ずっとずっと、みんなと過ごしていきたい。
叶わないことなのに、そんな風に思ってしまってる。
『リアルがなきゃ、ずっと一緒に居られるもんね』
「……うん」
『でもさ、リアルがあってよかったなって思うことはない?』
「……リアルがあって、よかった……?」
『そう。たとえばさ、リアルがあったからこそオッサンくさいフジヤマと会えたわけじゃん?
リアルがあったからこそ、YUKIが男だって気付くことが出来たじゃん?
チャットだけだったらさ、言葉だけのやり取りだから……相手の表情まではわからない。
言葉では笑っていても、顔は笑ってないかもしれない。 だけどリアルなら相手のことがわかるだろ?
自分の姿も見えてしまうけど、相手のことだって見えてくる。 俺はそういうの、よかったなって思うよ』