チャット恋愛注意報!!(旧)
……うん。
みんなとリアルで出会えて、よかったと思う。
会わなければよかった。と、思ってしまった時もあるけれど……だけど、みんなに会えてよかったと思う。
『チャットでの繋がりがなくなったとしても、リアルを生きていればまた会えるよ。
だって俺たち、フジヤマの連絡先を知ってるじゃん。 電話とかメールとか、あんまり出来なかったとしても……それでも繋がってるのは間違いないんだよ』
電話の向こう側に居るユージの声は明るくて、笑っているようだった。
だから私も笑みを浮かべ、ユージに見えないとわかっているのに、何度も何度も頷いた。
「また、会えるよね……?」
『うん。 フジヤマが忙しいって言うのなら、こっちから会いに行けばいいだけの話』
「……うんっ」
……ありがとう、ユージ。
応えてくれて、ありがとう……。
『あー……あのさサクラ』
「え?」
『ごめん、そろそろ乗り換えの電車来るから切らなきゃ』
「あっ……ごめんなさい、そうだよね……まだ、家まではかかるもんね……」
ユージが私の家を出てから、1時間半ほどが経つ。
電車で1時間、そのあと乗り換えをしてまた1時間……そうすると、やっとユージの住む町だ。
『ねぇサクラ、今度……二人でどっか行かない?』
「え?」
『せっかくの夏休みなんだし、二人でのんびり過ごそ?
フジヤマやYUKIと二人で過ごしたんだから、イヤなんて言わないよね?』
「あっ……はいっ……!!」
『よし、じゃああとでメールする。都合いい日、その時に教えて』
「うんっ……」
ユージと二人で過ごす。 それを思うと、ドキドキと心臓が鳴る。
そんな私を知ってか知らずか、電話の向こうのユージは笑っているようだった。