夏のカケラ
バットの位置から考えて、バットは僕に当たらない・・・


案の定、バットは僕の横を通り過ぎて行った・・・


風を切る音と共に・・・


バットが通り過ぎた瞬間に時が動き出した。


僕は高津コーチを見た。


高津コーチも笑いながら僕を見る。


「何で、避けない?」

「当たらないと判断しました」


僕がそう言うと、高津コーチはニヤッと笑った。


「それだよ・・・」

「え?」

「普通はみんな避けるか、目をつむる」


そうなの?


「だが、お前は俺のバットがゆっくりに見えた・・・」


僕は頷いた。
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