夏のカケラ
数日後、僕が夜の特訓を終えて家に帰ると母親が電話で喋っていた。


母親は僕を見ると、

「あ、帰って来たわ、ちょっと待ってて」

そう言って僕に受話器を渡した。


「誰?」

「奥野くん、久しぶりでびっくりしたわ」


奥野?


僕は電話を代わった。


「もしもし」

『おう、久しぶり!』


奥野が元気な声を出す。


奥野とは、あの川原で会った以来だ。


僕は、奥野と近況を話して軽く冗談を言ったりした。


『・・・所でさ』


ある程度、話した後に奥野が口調を変えた。


『・・七瀬って・・・今、彼氏いんの?』


はーん・・・なるほど・・・それが目的か・・・
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