夏のカケラ
マイは僕を見て笑った。


僕も照れた様に笑う。



西の空が茜色に染まっている。


「なあ」

「うん?」


今度は僕が声を掛けた。


「今更だけど・・・ありがとう・・・」

「何が?」


僕はマイをチラッと見た。


「中学の・・・最後の試合・・・」

「ああ・・・だって大事な幼なじみでしょ?」


マイがいたずらっぽく笑う。


僕も笑う。


「でも・・・あの時・・・ヒロ、奥野に殴り掛かったんだってね・・・」


マイがそう言って、僕を見た。

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